オープンソースの汎用プログラミング言語「PHP」最新バージョン PHP8が2020年11月26日に正式リリースされています。PHPは、WordPressをはじめとしたCMSやサーバー環境に必須の機能ですので、最近ではレンタルサーバー各社の管理画面などから簡単にアップデートができるようになっています。
今回は、レンタルサーバー「ConoHa WING」を参考に、アップデートの方法や注意点などを解説します。
PHP8の変更点とアップデートの注意点
PHP8は、PHP7からのメジャーアップデートということで大幅に機能が改善・最適化されています。
処理速度を大幅に向上する新コンパイラーJIT(Just In Time)の導入を始め、エラー処理能力の改善とソースコードをシンプル化した仕様変更など数多くの修正を行っています。
引用:php.net
検証では、一般的なアプリケーションでは若干の向上でしたが、長期間稼働いている特定のアプリケーションでは1.5~2倍のパフォーマンス向上が見られるという結果が得られたとのことです。
アップデートの注意点
PHP8へのアップデートに当たっては、今まで稼働していたサイトで、例えばプラグインが停止したなど想定外の問題が発生する可能性があります。
特に注意しておきたいのは、WordPressテンプレートが正式にPHP8に対応している商品が少ないということです。(2023年3月時点)
アップデート作業の前に、疑似環境でPHP8以降にアップデートし確認する、念のためバックアップを取っておく、PHP互換性をプラグインで事前チェックする(プラグイン PHP Compatibility Checker)、エラーが発生した場合の対応を事前検討しておく、など諸々を含んだうえでアップデート作業を進めてください。
ココがポイント
WordPressテンプレートは、PHP7対応のものがほとんどでPHP8で問題なく稼働するかはやや疑問が残ります。販売元で正式対応になるまで待つ、正式対応のテンプレートで対応する・替えるなど、PHP8のアップデート時には特に注意して対策を行うことをお勧めします。
PHPについての警告表示
WordPress管理画面にログインしますと、このような表示がされている場合があります。
「PHPの更新についてさらに詳しく」をクリックすると、WordPress.orgのサポートページにリンクしていますので、PHPの更新の必要性や事前に行うべきことを確認しておきましょう。
ココがポイント
機能の向上もありますが、セキュリティ対策としてPHPバージョンのアップデートも大切です。WordPress.orgや情報サイトなどを検索して、PHPを更新しても良いタイミングかどうか見計らって、問題なければ実行するようにしましょう。
管理画面でアップデート作業を行う
契約しているレンタルサーバー管理画面にログインします。今回は、「ConoHa WING」で作業を進めます。
ログイン後、左から「サイト管理」→「サイト設定」→「応用設定」と進み、「PHP設定」をクリックして開きます。
表示されるPHPバージョンから「8.0」もしくは「8.1」を選択し、「保存」をクリックすれば完了です。
なお、ConoHa WINGでは、ドメインごとではなくサーバー全体のPHPバージョンが変更になりますので、複数ドメインでサイトを運用している場合は特に気をつけて実行してください。
レンタルサーバー各社対応状況
各社のPHP8/8.1/8.2対応状況です。(2023年6月7日時点)
当サイト内解説ページへリンクしていますので、詳しくはご確認ください。
PHP8/8.1正式対応
■「さくらのレンタルサーバ」共用・マネージド PHP8/8.1正式対応
■「mixhost(ミックスホスト)」PHP8/8.1正式対応
■「wpX Speed」PHP8/8.1正式対応
■「リトルサーバー」PHP8.1正式対応
■「CPI ビジネス スタンダード」PHP8/8.1正式対応
PHP8/8.1/8.2正式対応
■「スターサーバー」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「お名前.com レンタルサーバー」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「ConoHa WING(コノハウィング)」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「ヘテムル」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「カラフルボックス」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「エックスサーバー」共用・マネージドPHP8/8.1/8.2正式対応
■「シン・レンタルサーバー」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「ロリポップ!」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「CORESERVER(コアサーバー)」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「まるっとプラン」PHP8/8.1/8.2正式対応
■「バリューサーバー」PHP8/8.1/8.2正式対応
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まとめ
PHP7からPHP8へ数字が繰り上がっているメジャーバージョンへのアップデートの場合、大幅に仕様が変わっている可能性があり、より慎重に進める必要があります。
安易なアップデートは要注意
インストールしているプラグインやプログラムが機能するか、そしてWordPressテンプレートが対応しているかは事前に確認し、できれば同じような環境で検証した後に、本番環境で適用するのが望ましいでしょう。
逆の視点では、自分や自社が運用しているサイト・サーバー環境を改めて見直す好機でもありますので、しっかり確認して最新の環境にアップデートしユーザビリティを高めてください
記事作成者プロフィール
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株式会社ストレン 代表取締役社長
情報セキュリティマネジメント
2級知的財産管理技能士
ネットショップ実務士レベル2
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当サイトはホスティング業経験から、レンタルサーバー・ドメイン・ワードプレステーマ/テンプレートを中立の視点から比較評価し、始める・切り替える方の立場に立った情報をお届けします。
【仕事略歴】早稲田大商卒。東証一部精密機器メーカー、レコード会社を経て2000年 動画配信レンタルサービス「ストレン」起業、マイクロソフト認定パートナーとしてサーバー構築・運用・PR等に携わる。2015年、東証グロース上場企業・お客様と合意の上、上場企業へユーザー移行後に同ビジネス終了、以降はITコンサルティングとして支援に。
【趣味】プロ野球/MLBなどスポーツ、映画・音楽好き(主に洋楽)