【コラム】超逆風の中、好決算企業・最高益見込企業から生き残りと成長のヒントを探る

2020年5月1日

【コラム】超逆風の中、好決算企業・最高益見込企業から生き残りと成長のヒントを探る

宿泊や飲食を中心に厳しい決算が続出している2020年3月期ですが、この状況下でも好決算、中には2021年度に最高益更新を見込む企業もあります。
コロナショックで厳しい中ではありますが、今後の生き残りやアフターコロナの成長を見込んで、取り入れられるところは取り入れる、という視点で2020年3月期決算を見ていきましょう。

巣ごもり消費の代表格:ネット通販系

巣ごもり消費の代表格:ネット通販系

国内外を代表するネット通販企業、アマゾンとYahoo!の親会社であるZホールディングス(HD)の好決算を見ると、巣ごもり消費関連ビジネスが、コロナショックで最も参考にしやすいビジネスであることが分かります。

米アマゾン売上高26%増 1~3月、新型コロナで需要増

米アマゾン・ドット・コムが30日に発表した2020年1~3月期決算は、売上高が前年同期比26%増の754億5200万ドル(約8兆900億円)だった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各地で外出規制が広がり、インターネット通販の需要が増えた。売上高は1~3月期として過去最高を更新した。

日本経済新聞

物流費の経費が増えたことで純利益は減少しましたが、AWSなどクラウドビジネスが安定して売上・利益を稼ぎ出しているため好決算となっています。

ヤフー親会社、売上高1兆円突破 ZOZO買収が貢献

ヤフーの親会社のZホールディングス(HD)は30日、2020年3月期通期決算を発表した。売上高は前期比10・3%増の1兆529億円で、旧ヤフー時代を含めて初めて1兆円を突破した。ZOZOの子会社化などが貢献した。

livedoorニュース

子会社化したアパレル系ネットショッピング「ZOZO」と「アスクル」の物販部門が、旅行予約や人材ビジネスのマイナスを補って、巣ごもり消費で売上・利益を拡大しています。

コロナショックを機会に、ネットショップを始める企業や個人が増えています。大手企業の決算を見ても、ネット通販は拡大していますので、コロナ対策の最有力ですぐできる手法はネット通販を始めることでしょう。

最高益更新を見込む上場企業

エネルギー関連

日本瓦斯株式会社(日ガス) LPガスや都市ガスを供給するエネルギー系企業

LPガスの原料価格が低下し、家庭用ガス販売への影響は限定的であることから2021年度の最高益(前期比 14.2%増の122億)を見込む。
営業方法を対面式からWeb・電話方式に切り替えて対応、顧客数はエリア内M&Aで顧客譲渡が見込まれ純増を予定。

さらに、電気をセットにした販売や、人による検診・メーターの開閉栓を不要にするオンラインガスメーターの導入など、販売方法・新技術導入も最高益見込みの根拠となっています。

物流関連

SGホールディングス 佐川急便グループの持株会社

巣ごもり消費の代表的な物流企業で、2021年度の最高益(前期比 2.4%増の825億)を見込む。
佐川急便などデリバリー事業は、eコマース市場の拡大による取扱量の増加、IT化による生産性向上、合わせて適正な価格交渉・調整で収益を拡大、海外物流のロジスティック事業は、越境ECサービスの拡大や、アライアンスによる物流資産の有効活用を実施する。

日本を代表する物流企業ですが、単なる取り扱い量の自然増に依存するだけでなく、収益の上がる価格を交渉すること、IT化で利益を最大化、アライアンスなど、絶えずするべき努力をしっかり行っていることが決算資料から読み取れます。

クラウド・不動産関連

クラウド・不動産関連

プロパティデータバンク株式会社 不動産クラウド型支援サービスを提供

不動産テック」と言われる、不動産とテクノロジーを統合したビジネスカテゴリーで、不動産業務支援をB to Bで行う企業で、2021年度の最高益(前期比 15.4%増の36.8億)を見込む。
「@プロパティ」シリーズで、不動産に関わる基幹業務システムや不動産ファンドの戦略的なアセットマネジメントなど多岐に渡るサービスを提供、「@ナレッジ」ではクラウドでナレッジマネジメントサービスを提供開始します。

既存ビジネスをクラウドに置き換えながら、ストック&フロービジネスの両方を備えていることで、この状況下でも最高益を見込める点がユニークです。

卸・小売り関連

キムラ 住宅用資材卸売りとホームセンターなど小売り事業

北海道に本社を置く企業で、2021年度の最高益(前期比 0.2%増の16.5億)を見込む。
コロナウイルスの影響で住宅用資材の卸部門は苦戦が予想されるものの、ホームセンター(ジョイフルエーケー)での小売り部門の顧客数拡大、不動産部門ではホームセンターへの新テナントの入居促進などを図っていく。

不動産部門はコロナ不況でやや不安な面はありますが、ホームセンターの販売は価格競争も通常より少ないと思われますので、小売りの伸びが他部門のマイナスをどの程度カバーするかが最高益確保のポイントです。

そのほか、最高益見込み企業

上記以外の2021年3月度最高益見込み企業です。分野ごとに分類しています。

社会インフラ系 IT・システム・コンテンツ系
メタウォーター インフォコム
SBテクノロジー
CTC
DTS
医療 食品関連
医学生物学研究所 エフピコ

参考サイト

株探(カブタン) 21年3月期【増収増益】リスト

各社決算短信

まとめ

逆境を乗り切るには

神は乗り越えられる試練しか与えないこれまでみてきましたように、限られた分野ではありますが、いい数字をたたき出す企業や業界をヒントに、これからどうすべきかをこれからじっくり考えていかなければなりません。

神は乗り越えられる試練しか与えない

コロナの影響で新作ドラマの制作が進まないために、再放送されたTBS系ドラマ「JIN -仁-」の名言です。明けない夜はありませんので、今はあきらめず全ての可能性を探ってまいりましょう。

記事作成者プロフィール

佃 直毅
佃 直毅
株式会社ストレン 代表取締役社長
MCP,2級知的財産管理技能士
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当サイトはホスティング業経験から、レンタルサーバー・ドメイン・ワードプレステーマ/テンプレートを中立の視点から比較評価し、始める・切り替える方の立場に立った情報をお届けします。

【仕事略歴】早稲田大商卒。東証一部精密機器メーカー、レコード会社を経て2000年 動画配信レンタルサービス「ストレン」起業、マイクロソフト認定パートナーとしてサーバー構築・運用・PR等に携わる。2015年、東証グロース上場企業・お客様と合意の上、上場企業へユーザー移行後に同ビジネス終了、以降はITコンサルティングとして支援に。

【趣味】プロ野球/MLBなどスポーツ、映画・音楽好き(主に洋楽)