2019年7月に入り、いよいよ後半戦の始まりです。
ECや通販マーケットはこれまで分析を行ってきたように右肩上がりの状況ですが、それではレンタルサーバーの基礎となる国内のサーバー市場はどうなっているか、2019年6月26日公表の最新情報から分かりやすく解説します。
2019年第1四半期 国内サーバー市場動向
売上増ながら、出荷台数は減少傾向
2019年第1四半期(1~3月)の国内サーバー市場から見てみましょう。
国内サーバー市場全体の売上額は1,424億円となり、前年同期比11.6%増加し2桁のプラス成長となる一方で、出荷台数は前年同期比8.8%減少の12万9千台でした。(IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社発表)
製品別の動向を売上からみると?
次に、サーバー製品毎に状況を確認します。
x86サーバーとは、x86アーキテクチャのプロセッサーを採用したパソコンと同じ設計のサーバーのことで、WindowsやLinux等のOSを搭載したサーバーを指します。主にレンタルサーバーで利用されるタイプでもあります。
このx86サーバーとメインフレーム(大企業などで利用される汎用・大型コンピュータ)は、売上が前年同期と比べると2桁のプラス成長となり、特にx86サーバーは売上額が前年同期比12.8%増の1,141億円、9四半期連続という長期間にわたりプラス成長を続け、メインフレームも2四半期連続で成長し好調を維持しています。
逆にx86サーバーとメインフレーム以外のその他サーバー(IA64サーバーやベンダー独自OSのサーバー・スーパーコンピュータなど)の売上は、2四半期連続で前年同期比2桁のマイナス成長となっています。
もっと詳しく
製品別の動向を出荷台数からみると?
出荷台数トータルとしては、前年同期比8.8%減の12万7,650台です。
前項目の売上ではx86サーバーを1つの製品として分析しましたが、出荷台数ではさらに2つに分けてみることにしましょう。
- スタンダードサーバー→エンタープライズ向け
- カスタムサーバー→ハイパースケールプロバイダー向け
スタンダードサーバーは、カタログに掲載されるなど一般的なサーバーで、標準的なマザーボードや筐体を採用し、主にレンタルサーバーなどで利用されています。
カスタムサーバーは、マザーボード・筐体などを、顧客のニーズや目的別に設計されたサーバーで、主にクラウドサービスなどで利用されます。
スタンダードサーバーは、売上額が前年同期比16.3%増の1,035億円、出荷台数は同5.3%減の11万3,320台。
カスタムサーバーは、売上額が前年同期比13.0%減の106億円、出荷台数は同29.6%減の1万4,330台。
メインフレームは、売上額が前年同期比21.2%増の203億円。
その他のサーバーは、売上額が前年同期比18.1%減の80億円。
スタンダードサーバーは売上+、出荷台数ーですが、カスタムサーバーは売上・出荷台数ともにーになっていることに注目です。メインフレームが2ケタ増えているのは、金融や製造など大型案件があった影響です。
x86サーバーの売上が増え、出荷台数が減っている原因とは?
国内サーバー市場で中心的な役割を果たしているx86サーバーは、売上額は2桁のプラス成長したものの出荷台数が前年同期比でマイナス成長となりました。
売上が増えた要因としては、x86サーバーの高機能化・高速化対応による平均単価が上がったものとみられています。
気がかりな出荷台数の減少傾向
しかし売上が好調なx86サーバーの出荷台数が減り、クラウドサービスで利用されるカスタムサーバーにいたっては売上・出荷台数ともに減っており、サーバー全体の台数の減少傾向がはっきり出てきています。
x86サーバーの価格の上昇はいずれ落ち着き、単価アップによる売上増は見込みにくくなること、このまま出荷台数のマイナス成長が続けば、売上額もマイナス成長になることは確実で、サーバーベンダーは、AIやIoT用途などサーバーの新規需要創出に努める必要があることなど、専門筋は指摘しています。
ココがポイント
レンタルサーバー視点で見てみると・・・
ユーザー視点では高機能化したx86サーバーの価格が落ちることは、レンタルサーバー料金にも反映されますのでメリットがあります。
またクラウドサーバーは、レンタルサーバー企業でも資金と技術の壁があり導入する企業が限られること、ユーザーも膨大なトラフィックが発生するサイトはごく一部なので、乗り換えるメリットがまだ少ないことなどもあって、国内サーバー市場動向も含めて考えると、クラウドへの乗り換えについてはしばらく状況を見ていくのが得策と思われます。
2019年第1四半期 国内サーバー市場カンパ二―シェア【売上額】
それでは、企業別の売上シェアを見てみましょう。トップは富士通が首位をキープし、2位がNEC、3位が日本ヒューレット・パッカード(HPE)、4位がデル (Dell Technologies)、5位は前四半期が4位の日立となっています。
出荷台数ベースでみますと、トップはNECが死守、次に富士通、HPE、Dell Technologies、日立と続き、前四半期から変動はありません。
ココがポイント
出典
IDC Japan 株式会社「2019年第1四半期 国内サーバー市場動向を発表」
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まとめ
レンタルサーバー各社は、ユーザーに提供するレンタルサーバーを構築するため日常的にサーバーについて最新情をインプットし、最適なサーバーを適宜仕入れています。
国内サーバー市場動向は、どういったサーバーが売れていて、将来的にどのような形式のサーバーが主流になるのかが分かる、サーバー市場全体像を把握し個別の戦略を練るためには、重要なデータです。
例えば、クラウドサーバーが主流になれば価格が下がってきますので導入の対象になりますし、先行きが明るいのか、先細りなのかで積極的な投資をするべきかどうかの判断材料にもなります。
レンタルサーバーやショッピングカートを契約するときは、個別のニーズに加えて、国内サーバー市場など全体像を知ることが導入・投資計画に貢献することもあり得ますので、是非お役立てください。
記事作成者プロフィール
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株式会社ストレン 代表取締役社長
情報セキュリティマネジメント
2級知的財産管理技能士
ネットショップ実務士レベル2
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当サイトはホスティング業経験から、レンタルサーバー・ドメイン・ワードプレステーマ/テンプレートを中立の視点から比較評価し、始める・切り替える方の立場に立った情報をお届けします。
【仕事略歴】早稲田大商卒。東証一部精密機器メーカー、レコード会社を経て2000年 動画配信レンタルサービス「ストレン」起業、マイクロソフト認定パートナーとしてサーバー構築・運用・PR等に携わる。2015年、東証グロース上場企業・お客様と合意の上、上場企業へユーザー移行後に同ビジネス終了、以降はITコンサルティングとして支援に。
【趣味】プロ野球/MLBなどスポーツ、映画・音楽好き(主に洋楽)