右肩上がりの成長を見せるEC業界、そしてネットショップ作成サービスですが、無料ネットショップ作成サービス BASEの「売上失効問題」が、ネットやニュースで取り上げられ、2019年10月30日にはBASEが公式サイトを通じて謝罪などを公表する事態になっています。
どのような問題なのか、今後どうなっていくのか、ネットショップオーナーはどうすべきなのか、などを考えてみます。
■ 2019年11月15日追記
2019年11月29日に「BASE利用規約」一部変更で、自動振り込み対応となります。
■ 2023年7月10日追記
当記事は2019年11月時点の情報に基づいています。過去記事としてご覧ください。
何が起きているのか?
BASEとは、月額無料でネットショップを誰でも簡単に作成・公開できるサービスで、2023年時点で200万を越えるショップがすでに運営を行っています。
BASEで得た売上金は、その都度ネットショップオーナーに直接入るわけではありません。
ある程度BASEに貯まった段階で、オーナーがBASEに振り込み申請(支払い請求)すれば、指定の銀行口座などに振り込まれる仕組みになっています。
気をつけなければならないのはBASEの規約で、請求ができるようになった時点から180日が経過し、BASEからの通知を行ったうえでさらに支払い請求がない場合、支払い請求権は消滅する、ことです。
16項 会員が支払いを請求することができるようになった時点から180日が経過し、当社が支払い請求を行うよう通知したにもかかわらず、会員からの支払いの請求がない場合、当該支払いを請求することができる権利は消滅するものとします。なお、第5項、第7項、第8項又は第10項に基づき当社が支払いを留保等した場合、留保等した期間も経過期間に含まれるものとします。
今回の問題は、180日を越えても請求をせず支払い請求権が消滅、つまり売上金を払ってもらえないネットショップオーナーが、ツイッターなどで投稿を行い多くの賛同を得、ネットメディアに取り上げられたことにあります。
売上14万を没収された...ネットショップ「BASE」に不満ツイート 運営「説明不十分だった」と謝罪
最大の問題は告知不足と他社事例の教訓を生かしていないこと
BASEが公表した謝罪には「出資法の関係で長期間の資金を預かることができない」とあり法律を守るのは当然のことで、この点は理解できます。
しかし、請求権が消えるという極めて重要な内容についてはサイトで目立つように告知するなどネットショップオーナーへの告知の徹底と、ほかのネット系企業でかつて起きた「請求権の消滅=売上金の消滅」は社会問題にも発展した現状を考えると、予測できる事態に対して対策を施していなかった姿勢に批判が集まるのもやむを得ないのでしょう。
ユーザーの視点に立った運営を
ネットショップ運営者には、注文メールに加えて関連業者からの案内・DMなど日々多くのメールやメッセージが届きます。
メールで通知したとしても、見ても忘れるケースやメール自体が埋もれてしまって見ていない場合すらあります。
ネットショップ作成サービス運営企業としては、リスクを取ってネットショップを運営している方々の負担を減らしながら売上金を渡す努力をする必要があったのではないでしょうか。
なお今後の対応として「消滅前の売上金を自動振り込みにする」を検討しているとのことですので、今回の一件を糧として、ユーザーの視点に立ったネットショップ作成サービス運営を行っていただきたいと考えています。
ネットショップオーナーが気をつけたいこと
自らで自らを守ることも大切ですので、気をつけておくことをまとめました。
- 売り上げが立った日から180日以内に必ず支払い請求をする
- BASEからの「支払い請求」関係メールには注意しておく
- 自動振り込み対応を開始するニュースに気をつける
- 自動振り込みが開始されたらすぐに口座登録をする
特に4番目だけでも忘れずに行っていれば、売上金が消滅するという悲劇的な状況だけは避けられますので、必ず実践しておきたいことです。
<2019年11月15日追記>
2019年11月29日に、BASE規約が変更になり自動振り込みに対応します。
<主な変更点>
振込申請期限が経過した売上金の取扱いの変更
1. 振込申請期限が経過した売上金の取扱いの変更
BASEが定める条件を満しているショップには、180日以内に振込申請をしなかった場合でも売上金を自動で振込申請をおこなうこととなりました。
▼これまで
180日以内にショップオーナーからの振込申請に基づき、BASEが売上金相当額を支払いますが、180日以内に振込申請をしなかった場合、出資法の観点から売上金相当額を失効。
▼これから(規約変更日以降)
180日以内に振込申請をしなかった場合、BASEが定める条件を満たしているBASEショップに対し、自動で期日をすぎた売上金相当額の振込申請をおこなうこととなりました。
自動振込申請の対象となるBASEショップ:
過去に電話番号認証をおこなったうえでBASEショップ運営者と同一名義の口座を指定して振込申請をおこない、実際にBASEから振込がされている口座を所有している方
ただし、対象となるBASEショップ以外で180日以内に振込申請がおこなわれない場合は、やむを得ず売上金相当額が失効となることには注意が必要です。
つまり、口座登録をしていないショップは、今まで通り180日以内に振込申請しないと失効するのは同じです。気をつけましょう。
このほか改正民法の定型約款ルールへの対応のための変更など、くわしくは、変更後のBASE利用規約第6条を確認しましょう。
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まとめ
慎重にビジネスを進める
新しいサービスや急成長中の業界には、ひずみが出てくるのも事実です。
誠実にビジネスや業界を発展させようという企業であれば、ユーザーに真摯に説明をして、スピーディーに対応策を講じるはずですので、今後のBASEの行動を注視しましょう。
また、ネットショップオーナーも売上金に関しての規約・ルールなどをよく読み、行動を起こすことは自社を守るために必要ですので、この両面をしっかりと行っていくべきと今回の一件は明示しています。