「ネットショップを始めたい!」「実店舗の商品をネットで広く購入してもらいたい!」」という理由から、ネットショップを始める個人や企業も増えています。さらに、ネットショップを立ち上げた後、次の課題はアクセスと集客を増やし認知度を上げること、さらにネット上での売り上げを増やす、実店舗への来店を促進することなど、取り組みべきことが多くあります。
ただ、ネットショップを始める前に知っておきたい大切なポイントがあります。このことを知っておくこと・意識しておくことで、むしろ開店後に売り上げをより早くアップする近道になることもあります。
このページでは、ネットショップについて、スタート前に知っておくべき重要な点・考え方について解説します。
インターネットビジネスの現状を知りましょう
ネットショップ、ECビジネスの前に、インターネットビジネス全般についてざっくりと把握をしましょう。
まずは難易度を知る
自社サイトやホームページを作成して公開する、いわゆるインターネットビジネスは、顧客・ユーザーに「サイトを見てもらいたい」「購入してもらいたい」など、なにがしかの“行動=Action”を求めています。まずは、人を動かす難易度で3つのパターンに分類し、自分や自社が行おうとしているインターネットビジネスが、どの分類に当てはまるか認識しておきましょう。
■ 難易度:低(易しい) サイトの閲覧・無料登録など
比較的簡単なのは、サイトを見て企業やブランド、商品を知ってもらうことです。
ユーザーに求める行動は、PCやスマホでのサイト閲覧・場合によってはお問い合わせや無料会員登録などもありますが、ユーザーにとっては移動や費用を求めないサイト閲覧のみですので、ハードルがとても低く、検索エンジン上位対策やSNSでの告知、場合によっては検索広告・ディスプレイ広告などで、達成できるものです。
インターネットビジネスの中でも最も簡単な部類に属します。
■ 難易度:中(やや難しい) ネット通販での購入(ネットに適していない分野)
次は、サイトで商品を買ってもらうネット通販です。
パソコンやスマホを閲覧し、ユーザーは移動を伴わず、ネット上での購入で完結するため、サイトの閲覧や登録よりはハードルが高いものの、決済手段の多様化でネット通販でのショッピングはハードルが低くなりつつあります。
注意点は、ネットショップに適している商品・業界と適していない商品・業界で難易度は異なりますので、次の項目(ネットショップの難易度を知る)で詳細に見てみましょう。
最も難しいのは、サイトを閲覧したうえで時間・金銭的コストをかけて実店舗に来店してもらうこと、リアルイベントに参加していただくことなど、人を動かす、ユーザーに動いていただくことです。
飲食店や居酒屋などお店に来てほしいのでホームページを始めたい、という方は、実は最も難しい分類のネットビジネスを始めようとしていること、なぜなら他人に移動を伴う行動を促すことは極めて難しいことを認識する必要があります。
実店舗に来ていただくための動機付けやユーザーのメリット、他店との違いなどを明確に見える化し、ホームページで訴求しなければなりませんので、自店の強みなどを事前に分析しておきましょう。



ネットショップの難易度を知る
次に、難易度:中のうち、ネットショップに適している/適していない商品・業界について考えてみます。
現実の店舗では様々な商品が売られていますが、では全ての商品をネットショップで販売することが適切かどうか?について考えることは、ネットショップを始めるうえでとても大切なポイントです。
ネットショップで売りやすい商品・分野などの特徴
一般的に、ネットショップで販売されている商品の中で、成功しやすい商品の特徴は下記のとおりです。

2:一定の保存がきき、宅配に向くブランド・商品
3:独自性のあるブランド・商品
4:近くでは簡単に手に入らない希少価値のあるブランド・商品
5:他社より安い価格設定ができるブランド・商品
6:サイズや手触りなど、確認の必要性がないブランド・商品
7:重量のかさばる商品
8:定期的に購入したい商品
有名ブランドのアクセサリーや機能で差別化できる家電、価格競争力がある商品やコートや下着などサイズ確認の必要性が低い商品など、ネット通販で販売しやすい部類に属しています。
また、運ぶのに苦労する特定産地のお米や、毎月購入する食品など消耗品の定期購入はネット通販の強みでもあります。

ネットショップで売りにくい商品・分野などの特徴
一方で、ネット通販では販売しにくい商品、差別化が難しい商品についてです。

2:保存がきかない、宅配に向かないブランド・商品
3:独自性の少ないブランド・商品
4:近くで容易に入手できるブランド・商品
5:価格競争ができないブランド・商品
6:サイズや手触りなど、確認の必要性があるブランド・商品
7:数百万円以上と極めて高額で、説明などが必要・法的規制がある商品
どこでも購入でき、保存のきかない一般的な生鮮食料品・野菜や肉、商品の特徴で差別化ができないうえに価格を引き下げられない商品、微妙なサイズ感や履き心地が求められる紳士靴・スーツ、家や土地など高額・法的規制がある商品などは、ネット通販では売り上げを上げるが難しい、もしくは不可能な商品です。

ネットショップに関わる2つの誤解を解消する
ネットショップは運用が楽、という誤解
ネットショップによくある誤解のうち、最も多く、そして失敗の原因となるものがあります。それは・・
「ネットショップは始めるのが楽なので、売り上げも簡単に上げられる、運用が楽。」
というものです。
ネットを取り巻く環境が激変
2000年から2010年代前半までは、サイト=ネット上のチラシ・パンフレットという見方が中心で、ホームページ制作会社が作ったサイトをそのまま更新せず置いておいても通用する時代が確かにありました。 それは、ネット上にサイトが少なく、他社も含めてサイトをまめに更新する文化が少なかったため、サイトがあること自体が(更新しなくても)競争に勝つことを意味していました。
ところがグーグルは、サイトの内容や更新頻度、ユーザーの役に立つかどうかを判断し売り上げに大きな影響を与える検索順位を頻繁に変動させる方式を取ったことで状況が一変。
ユーザー目線で「役に立つ」情報を配信しているか、新しい情報を配信しているか、更新をまめに行っているかで、ネットショップを含むサイトの検索表示順位が大きく変わり、2020年代は売り上げに影響が出るネット環境となっています。
さらに、ネット上には、数百万以上のサイトがあり競争が激烈です。また、簡単に始められるため、日々 ネットショップ・サイトは増加の一途、さらに毎日更新するショップもあり、1度サイトを作成して、 更新無しでは売れ続けることは極めて困難です。ネットショップは、実店舗と同等、もしくは それ以上の激しい戦いをしなければならないことを肝に銘じておきましょう。
外注すれば大丈夫、という誤解
もうひとつの誤解は、外注して社外の専門家に依頼すればネットショップは成長する、というものです。
クライアント(お店側)の要望を聞いて、デザインを中心に制作するWEB制作会社のホームページ作成手法と、サイトに集客する・サイト来訪者に購入してもらうサイトの作りは、そもそも目的が異なる場合があります。WEB制作会社は、ネットショップの売り上げまで保証するケースはほぼありませんので、自らで売れるための研究・サイト修正を行うことが肝要です。
コンサルタントなどの一度・数回の相談で、ネットショップ対策が完了し売れ続ける。
自社の商品・サービスをもっとも知っているのは自社です。自ら新しい情報・深い情報を継続してサイトで配信し続けることが他社より価値があるショップとなる重要なポイントです。
外部の専門家・コンサルタントは、あくまでもブレーンとして活用しながら、サイトの更新は自ら責任をもって行う「内製化」が、サイトの成長とネットショップの売り上げ向上には必須の要素です。
まとめ
ここがポイント
- インターネットビジネスの難易度がどのくらいかを知りましょう
- ネット通販に向く商品・業界を事前に認識しましょう
- 自社商品を最も知るのは自社・自店。できる限りショップの内製化を目指しましょう
ネットショップ作成サービスが充実しており、オリジナル商品やブランド・メーカー品を販売するショップを立ち上げるのは比較的容易になりました。
しかし、ネットショップを始めることとネットショップで売り上げを増やすことは同意ではありません。
インターネットビジネスの現況やネットショップを始める前に知っておきたいことをインプットし、次のステップとして自社に適したネットショップ作成サービスを選び、構築することは一見、遠回りのようで実は最短距離かもしれません。
大きく飛躍するために、一歩立ち止まってネットショップについて、自店の強みについてじっくり考えたあと、ネットショップを始めても遅いことはありません。着実に前へ一歩づつ進んでまいりましょう。
記事作成者プロフィール

- ITサポート/コンテンツプロデュース
-
株式会社ストレン 代表取締役社長
MCP,2級知的財産管理技能士
おすすめ情報サイト「マイベスト」レンタルサーバー・ドメイン監修
当サイトでは、ユーザー視点でネットショップ作成サービス/ECカートの評価をし、これから始めたい・切り替えたい方の立場に立った記事・比較情報をお届けします。
【仕事略歴】早稲田大商卒。東証一部精密機器メーカー、レコード会社を経て独立後、2001年に動画配信(ストリーミングサーバー)レンタルサービス「ストレン」を立ち上げ、マイクロソフト認定パートナーとしてサーバー構築・運用からPRまで全般に携わる。2015年、東証グロース上場企業・お客様と合意のもと、上場企業サービスへ移行していただき同ビジネス終了、以降はITサポート・コンサルティングとして企業の支援に。
【趣味】プロ野球/MLBなどスポーツ、映画・音楽好き(主に洋楽)