【市場調査】物販EC化率9.38%と引き続き成長:経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査」

市場調査 ネット通販2023年情報分析-経済産業省

経済産業省が電子商取引などを実態調査した「令和5年度電子商取引に関する市場調査」では、一般消費者向け電子商取引市場規模は24.8兆円と前年比9.23%増と拡大しており、物販EC化率は9.38%とやや鈍化しましたが、引き続き成長を続けています。

2024年9月25日に公開された2023年度版(令和5年度)のデータを確認しましょう。

2023年度日本のBtoC -EC市場規模は?

2023年度BtoC-EC市場規模の経年推移

国内の一般消費者向け電子商取引全体では、24 兆 8,435 億円と前年より9.23%増加となりました。さらに企業間電子商取引であるBtoB-EC市場規模も前年の420.2兆円から465.2兆円と10.7%増となり、個人市場・企業市場共に拡大を続けています。
物販系・サービス系・デジタル系3分野の国内一般消費者向け電子商取引の構成比は下記のとおりです。

2023年度BtoC-ECの市場規模及び各分野の伸長率

サービス系の伸び率が最も高く22.27%となりましたが、物販系系で4.83%、デジタル系ではさらに2.05%と落ち込みが極めて大きくなっています。

コロナ時代には物販やデジタル系増加率が二けた、サービス系増加率が一けた前半だったことを考えると、2023年度は完全に逆転しています。アフターコロナによる旅行・イベントなどリアルの活況が大きな要因と考えられます
もっと詳しく
もっと詳しく

物販系分野動向

物販系のEC市場規模とEC化率の推移を確認します。

EC市場規模、EC化率ともに成長しておりEC化率は9.38%と前年の9.13%から0.25%とやや鈍化はしていますが、引き続き伸びている結果となりました。

2023年度物販系のEC市場規模とEC化率の推移

さらに細かい分野ごとの内訳は下記の通りです。

2023年度物販系分野のBtoC-EC市場規模

市場規模(2兆6,838億円)、EC化率(42.88%)がともに高い分野は「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」です。
また、EC化率が最も高い分野は「書籍、映像・音楽ソフト」で53.45%と過半数を超えています。

一方で、市場規模が最も大きい(2兆9,299億円)もののEC化率が低い(4.29%)分野は「食品、飲料、酒類」で、ますます生活家電や書籍などと差が開いているのが現状です。

①食品などや④医薬品など、⑦自動車などはEC化率が一けた台前半となっており、他の分野と比較すると大きく水を開けられています。国内物販全体のEC化率を高めるには、この低い分野のEC化が必要不可欠となります。
解説です
解説です

サービス系分野動向

次にサービス系の動向ですが、2022年度に続いて2023年度もサービス分野の増加が大きく、EC市場全体にプラスの影響を与えています。

2023年度サービス系分野のBtoC-ECの市場規模

金額、比率ともに大きく伸びている分野は「旅行サービス」(3兆1,953億円)で、2022年度の67.95%増よりは鈍化しましたが、対前年比35.87%と大きな増加率となっています。
飲食サービス」、「チケット販売」も19%~24%台の増加率で、サービス分野の成長に大きく寄与しています。

デジタル系分野動向

そしてアフターコロナのリアル回帰の影響を受けているデジタル系分野です。

2023年度デジタル系分野のBtoC-EC市場規模

オンラインゲーム」が3.6%減少と唯一マイナスを記録しています。

電子出版」、「有料音楽配信」、「有料動画配信」などは、コロナに関係なくコンテンツの電子配信・流通によるビジネス自体の成長・増加と見てよいでしょう。

ココがポイント

サービス系とデジタル系を比較したグラフでは、いずれも増加しており今後も堅調が予想されます。

2023年度サービス系とデジタル系市場規模推移

2023年度日本のCtoC -EC市場規模は?

2023年度CtoC-EC推定市場規模

メルカリ・フリマアプリなどを利用した個人間取引(CtoC)が2兆4,817億円と前年から5.0%と伸びています。物販や中古品など取引が個人間のやり取りから、ビジネスとして発展していることで成長が長く続いています。

2023年度越境EC市場規模は?

最後に、日本・米国・中国の3か国間でのネット通販・越境EC市場規模を確認しましょう。

2023年度日本・米国・中国3ヵ国の越境EC市場規模

越境EC市場は順調に成長しており、特にアメリカの伸び率が14.4%と高い数値を示し、中国を2倍近く引き離しています。アメリカの好景気を表す指標と言っても良いでしょう。

出典

経済産業省
令和5年電子商取引に関する市場調査

あわせて読みたい

ネットショップ比較

ネットショップ作成サービス・ECショッピングカードASPを徹底比較!料金・費用から商品登録・カート機能、デザイン制作、サポートまで比べます。さらに各サービスごとのミニ解説で概要がすぐに把握できますよ!

もっと詳しく

ネットショップ13社 ショッピングカート料金機能比較
ネットショップ比較:おすすめ作成サービスASP/ECカートシステム 個人法人向

ネットショップを始める時、システムを乗り換える時、「ネットショップどこがいいか分からない!」と悩むほど数多くの作成サービスがあって迷いますね。当比較サイト(ストリームレンタルドットコム ショップ版)で ...

続きを見る

まとめ

コロナ時代の逆の展開

令和5年度電子商取引の市場調査で分かったことは、2020年のコロナ時代とは真逆に近く、旅行・飲食・チケットなどリアルビジネスの大幅な増加率の拡大と、巣ごもり需要で急成長をしたオンラインゲームがマイナスになるなど、逆転現象が見受けられました。

また、昨今の円安などの影響でアメリカの越境ECの成長と、米国の増加率が中国を逆転するなど世界のEC構図の転換も確認できました。

2024年以降は、日本の衆院議員・参院議員選挙や米国大統領選挙とビジネスに大きな影響を与えるイベントが続きます。環境変化に迅速に対応できるよう常にウォッチしておきましょう。

記事作成者プロフィール

佃 直毅
佃 直毅株式会社ストレン 代表取締役社長
ネットショップ実務士レベル2
情報セキュリティマネジメント
2級知的財産管理技能士
おすすめ情報サイト「マイベスト」レンタルサーバー・ドメイン監修

当サイトはネットショップ作成サービス/ECカートを中立の視点から比較評価し、始める・切り替える方の立場に立った情報をお届けします。

【仕事略歴】早稲田大商卒。東証一部精密機器メーカー、レコード会社を経て2000年 動画配信レンタルサービス「ストレン」起業、マイクロソフト認定パートナーとしてサーバー構築・運用・PR等に携わる。2015年、東証グロース上場企業・お客様と合意の上、上場企業へユーザー移行後に同ビジネス終了、以降はITコンサルティングとして支援に。

【趣味】プロ野球/MLBなどスポーツ、映画・音楽好き(主に洋楽)