「ネットショップの始め方1」では、ネットショップと実店舗の違いや、ネット販売に向く商品、ネットショップによくある誤解など、ネットショップを始める前の心構えを中心に、そして「ネットショップの始め方2」では、販売する商品のコンセプトを検討すること、適したネットショップ作成サービスを選ぶことなど、ネットショップの具体化のための手段について解説しました。
それでは次に、「ネットショップの始め方3」ネットショップ開業方法ページでは、実際にビジネスマンや主婦が副業として一人で運営、あるいは起業してネットショップを個人経営・法人として開業・開設しネット販売を始めるまでの流れや手順について必要な情報をまとめます。
ステップ1: 商品や店名・ブランド名の決定
ネットショップを開業するために、絶対欠かせないものは販売する商品・サービスと、販売するベースであるネットショップの店名やブランド名などです。
商品やサービスの選定
ネット通販・セレクトショップを開業する前に何を売るか?どんな種類の商品販売をするかを決めなければなりません。「自ら製作した雑貨や商品を売りたい!」「目利きには自信があるので仕入れた商品であれば売れるに違いない」、という安易な予測や思い込みでスタートすると失敗するリスクが高くなります。
そこで、事前にネットで検索しネットショップ競合他社の分析を行って、自分や自社が提供する商品やサービスの差別化ポイントを明確にすることが重要です。
ココがポイント
さらに、ターゲットになる顧客層(性別・年齢・地域など)を想定することは、サイトでの見せ方・表現に関わる重要な事項です。ターゲットに刺さる文面や画像でネットショップを展開し売り上げが伸びればさらに深堀をしていく、売上が芳しくなければターゲット層を変更し表現方法を変えることで売上にどう影響するか注視していく必要があります。
また、実際に他社ネットショップから商品を購入して、届いた商品の品質などの確認、ネットショップの構成や注文のしやすさ、受注メールの文面やサポート・返品ルールなどを確認しておくこともポイントです。
ネットショップ名・ブランド名の決定
ネットショップ名やブランド名については、今まで実店舗販売を行っていて、そのままネットショップに進出する場合は、実店舗の屋号などをネットショップ名で使えば問題ありません。
一方で、新規にネットショップを開業するときは、販売する商品に関連する店名や自分自身の名前に関連する店名など様々な選択肢がありますので、プロモーションやブランディングとして長く広く利用するという視点を持って、じっくり考えて決定しましょう。
特に、店名にキーワードを含めるかどうかは、ネットショップの検索エンジン対策にも影響しますのでとても重要です。
さらにSEOの観点からは、ネットショップ名・ブランド名は、ネットショップのドメインやサブドメインに利用することも多く、こちらも長期間利用する前提で契約しますので、この点も考慮しておきましょう。
デザイン面では、ロゴを作成しネットショップのヘッダーや商品パッケージ、包装などに利用する場合も多く、シンプルながら飽きの来ないデザインを心がけましょう。
ステップ2: 利用するECシステムを決め契約する
ネットショップで販売する商品・サービス、そして店名やブランド名が決まったら、次はネットショップを始めるため、ネットショップ作成サービス・ECショッピングカードを決めて契約します。
構築サービス・ショッピングカートの決定
ネットショップ作成サービス・ショッピングカートサービスは、「ネットショップの始め方2」で解説していますが無料・有料複合系、有料系、あるいは個人向け・中小規模向け・大規模店舗向け、国内系・海外系とさまざまな視点から選べますので、コスト(初期費用・継続費用・手数料・サイト作成費など経費)や機能、サポートを比較検討して決定の上契約します。
特に開業・運営資金との兼ね合いもありますので慎重に選定を進めましょう。
おすすめの各サービスの比較はこちら
通販サイトを無料で作成できるBASEやSTORES(ストアーズ)、カラーミーショップや越境ECに強みのあるShopifyなど主要なASPカートサービスを比べています。
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参考ネットショップ比較:おすすめ作成サービスASP/ECカートシステム 個人法人向
ネットショップを始める時、システムを乗り換える時、「ネットショップどこがいいか分からない!」と悩むほど数多くの作成サービスがあって迷いますね。当比較サイト(ストリームレンタルドットコム ショップ版)で ...
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決済方法・支払い方法の選択と決定
ネットショップの支払い方法(ペイメントゲートウェイ)は、顧客が商品を購入する際に使用する決済システムで、そのネットショップで購入するかを決定する大きな要因の一つでもあります。
クレジット決済やコンビニ決済、スマホ決済に後払いなど多数の選択肢がありますので、導入維持コストなどを十分に考えて、高い利益率になるよう必要な決済方法を導入しましょう。
配送料金・業者の選定
配送する商品の大きさや重さ、まとめ買いの時の最大の箱の大きさを想定して、全国の配送料金と配送業者を決定します。なお、「〇〇円以上は送料無料」という設定は、ネットショップ側にとってはコストがかかりますが、まとめ買いの可能性も高まり売り上げも高くなりますので、販売戦略上有効に活用しましょう。
また、大手の配送業者を選ぶことは、ユーザーの安心にもつながりますし、ネットショップ側としても商品の安全を確保する意味でも重要です。
国内企業では、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政が国内シェアトップ3(国土交通省 令和3年宅配便等取扱個数の調査及び集計方法より)ですので、この3社か、他の特色ある業者を選ぶことになります。
セキュリティとプライバシーの確保
ネットショップを開業するにあたり、セキュリティとプライバシーの確保は非常に重要です。
プライバシーポリシーの策定と公開、個人情報の保護に関する法律の遵守、そして技術的にはネットショップの常時SSL化について、無料SSLで進めるか、有料SSL証明書を購入取得するかなど決定します。
ホームページと同じく、ブラウザと顧客の通信を暗号化するSSLは今や必須です。セキュリティの確保と同時に、SSL化されていないサイトやネットショップは検索エンジン対策上もマイナスですので必ず導入するようにしましょう。
ステップ3: 運用体制と法的対応
販売する商品・サービスが決まり、ネットショップを作成するサービスと契約し構築することと並行して、ネットショップの運用体制や法的な対応を行います。
運用体制
店長や出荷担当、在庫担当など、複数人で運用をする場合は役割と責任範囲を明確化しておけば、事前に業務漏れによるトラブルを避けることができます。
特に店長は、責任者としてネットショップ内に氏名を公開する必要も出てきますので、事前に了解の上職責を受託するようにしましょう。
また、原則として年中無休・24時間営業のネットショップでは、ネットショップの顧客対応時間の決定と公開、受注時など自動返信メールの文面作成、そしてスタッフの休日や病気欠席など臨時の休暇時の体制も事前に決めておくか、共有のスケジュール管理ソフトなどで対応できる体制とやり方を準備しておきたいところです。
クレーム対応方針
理由のない返品や未払い、電話・メールなどでのクレームは可能な限り対応方針を事前に決めておけば、責任者が不在でも顧客対応を行うことができます。
またクーリングオフなどしっかり対応するなど法令順守の姿勢を明確にしていれば、事前に大きなトラブルになるリスクを低減することにもなります。
そして、ネット上の書き込みに対しまめに返事を投稿することは、ユーザーに安心感を持ってもらいながら、同時に口コミ対策としても有効ですので積極的に行いましょう。
届け出・契約関係
個人や個人事業主として初めてネットショップを開設する時は、継続・反復して事業を行うことが前提となりますので、注意点として開業日から1か月以内に税務署(納税地を所轄する税務署長)への開業届を提出する義務があります。届出を出さないことでの罰則はありませんが、開業届を提出していないと「最大65万円の特別控除が受けられる青色申告ができない」、「屋号名義でのクレジットカードが作れない」などのデメリットがありますので、提出しておいた方が望ましいでしょう。
販売許可・資格の取得
中古品や食品などネットで取り扱う商品によっては、営業許可や資格が必要なものもありますし、販売許可が必要な商品もあります。ネットショップ作成サービスのノウハウ記事など情報が一覧表でまとめられている下記サイトで、自分や自社のネットショップが当てはまるかどうか確認してみてください。事前にチェックして、取得しておきましょう。
MakeShop 【絶対知るべき】ネットショップ開業に必要な手続き・許可・法律など
特定商取引法の内容決定
特定商取引法とは、消費者の利益を守るために事前に事業者が定めておかなければならない法律で、表示義務があり違反すれば2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はそれらの併科(70条)の対象となる罰則規定があります。
特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。 具体的には、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています。
経済産業省
ネットショップ作成サービスによっては、わかりやすく特定商取引法に基づく表記を行わないとネットショップが開店できない場合もあります。特定商取引法の項目については、事前に決定・作成して公開しなければなりませんので注意しましょう。
消費者庁 特定商取引法ガイド
商品仕入れとマーケティング
ネットショップのひな型が出来上がれば、継続的にネット販売を続けるための商品仕入れとマーケティングを行うこととなります。
安定した商品仕入れ
自分自身で制作するハンドメイド商品は別にして、通常ネットショップでは商品を仕入れてインターネット経由で販売を行います。
調達方法としては、1:メーカーから直接仕入れる、2:フリママーケットやオークションサイトで購入して仕入れる、3:ネット卸(仕入れサイト)から仕入れる、などがありますが、1については個人ではハードルが高く、2は安定した商品仕入れが難しい一面もあります。
3のインターネット卸は、アパレルやアクセサリーなど様々なジャンルの商品を取り揃えており、また契約のハードルも低いため個人でもリスクを抑えた仕入れが可能です。ネットで仕入れてネットで売る形態ですので、ネットショップを立ち上げたばかりの時は手間がかからず、仕入れ先として大きな選択肢となります。
さらに、ドロップシッピングなどの無在庫販売できる仕入れサービスもありますので幅広く検討しましょう。
ネットショップの仕入先まとめ
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参考ネットショップ販売商品の仕入れを確保する方法とは:個人法人でショップ開業
「さあ!ネットショップ開業しよう」「副業でWEBショップを始めたい!」と思いたち、BASEやストアーズなどでブログやネットショップを簡単に立ち上げられるものの、売る商品がない、仕入れルートがないと始め ...
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ビジネスプランの策定
ネットショップを開業・開設する前に、ビジネスプランを策定することは非常に重要です。
ビジネスプランには、売上・収益予測、マーケティング戦略、販売促進、販売目標、競合分析などが含まれますが、開業前に緻密なプランを策定することは難しいので、大まかにでも数値目標は作成しておきましょう。また、最新動向や技術などを絶えず勉強しビジネスプランを修正・ビルドアップすることも大切です。
また、ネットショップへの集客を図るためには、SEO対策を行う、SNSアカウントを作成して情報発信する、グーグルビジネスプロフィールやグーグルマップなど掲載登録・プレスリリースで既存メディア・ネットメディアでの掲載、グーグル広告などネット広告を中心に低コストの集客を狙う、など立ち上げ当初はコストゼロ、もしくはコストが低いPRツールを使ってマーケティング施策を行うことをお勧めします。
まとめ
ここまでで、個人・企業がネットショップを開業・開設するところまでできました。
ここからが本当の勝負です!
開店からが本当のスタート
数多くのネットショップが毎日、激戦を繰り広げているインターネットビジネスに踏み込んだ今、競争に打ち勝つため、また顧客に喜んでもらって長く利用してもらい軌道に乗るまで、ネットショップの改善や商品・仕入れの見直し、細かなマーケティング戦略を行っていかなければなりません。
さらに世の中のトレンドや経済情勢も変化していきますので、アンテナを高くして柔軟なネットショップ運営を心がけるよういたしましょう。
「すぐに売り上げが上がらない」「なかなか儲からない」のは当たり前、腰を据えて継続し日々改善していくこそ成功への第一歩です。