ネット通販2018年情報分析-市場調査・倒産数より-

レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析毎年成長を続けるネット通販・eコマース市場ですが、興味深い調査データが公開されましたので解説します。
経済産業省の平成30年度電子商取引に関する市場調査と、帝国データバンクの2018年度通信販売業者の倒産動向調査では、国内外の電子商取引についてのデータ分析と、倒産業者についてその原因分析などが確認できます。

■ ポイント

  • スマホの成長が鮮明に スマホターゲット化へ
  • 小規模・新興ネット通販業者の倒産が過去最高に
  • まとめ:これらを踏まえた戦略案

日本のEC市場全体について

まずは、全業種でネット通販市場はどうなっているのか確認してみましょう。BtoC-EC 市場規模および各分野の構成比率を見てみますと、物販系が51.7%と半分以上を占めています
次に、物販系をさらに詳しく確認します。

レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析 全業種構成比

出所:経済産業省 電子商取引に関する市場調査

スマホの成長が鮮明に スマホターゲット化へ

物販分野のEC市場全体の動向

EC市場全体の51.7%を占める物販分野の動向ですが、EC市場規模が右肩上がりで上昇し、合わせてEC化率も6.22%まで増加しました。
レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析 市場規模の推移

各分野構成比・スマホの伸び率

次に、BtoC-EC市場規模および各分野の構成比率を見ますと、物販におけるスマートフォン比率は39.3%と約4割に達しています。また、「スマホ経由の市場規模の直近3年間の推移」でも、2015年の27.4%から39.3%と12%程度伸長しています。

レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析 各分野の構成比率

レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析 スマートフォン経由推移

スマホの利用状況

さらに個人のスマホ利用状況では、2016年にパソコンを逆転し、2017年にはパソコンとタブレットの利用状況が減っていることを併せて考えると、今後はスマートフォンを中心にネット販売の戦略を練りマーケティングを行う必要性が高くなっています。

レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析 スマートフォン利用状況

ココがポイント

スマートフォンをターゲットにネット販売を行うこと、そして物販分野はまだEC化率が6.22%と1割にも満たず、今後のシェア拡大が見込まれます。ただし注意点がありますので、次の項目で解説します。

小規模・新興ネット通販業者の倒産が過去最高に

次に、帝国データバンクが公開した「通信販売業者の倒産動向調査 (2018 年度) 」を通して、拡大するネット通販において気をつけるべきポイントが見えてきます。

まず通信販売業者の倒産件数ですが、2018年度(2018年4月~2019年3月)は30件で過去最多を記録しました。

レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析 通信販売業者の倒産件数

出所:帝国データバンク 通信販売業者の倒産動向調査 (2018 年度)

負債規模別

次に、負債規模別では1000万~5000万円未満で20件、5000万~1憶円未満の5件と合わせて、全体の83.3%が小規模業者の倒産となっています。
一方で10億~100億円未満では2013年から1件も倒産しておらず、小規模事業者の環境の厳しさが垣間見えます。

レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析 負債規模別

業歴別

また、業歴の長さでは5~10年未満、10~15年未満の倒産が63.3%を占めています。2004・5年以降、ネット通販に参入した企業の倒産が73.3%となり、新規参入組の事業継続の困難さがデータに表れています。

レンタルサーバー ネット通販・eコマース2019最新情報分析 業歴別

ココがポイント

先の経済産業省の調査ではネット通販市場は拡大しており、帝国データバンクのデータと重ねて考えますと、大手企業・ショッピングモール自体がますます市場シェアを拡大し、小規模・新興ネット販売会社が、市場競争の激化の影響を大きく受けているといえます。

ショッピングモール内での同業との競争、高騰する物流費を吸収できず価格転嫁が難しいなどこれからのネット販売・eコマースは、これらの点を踏まえて戦略を検討する必要があります。

出典

経済産業省 平成30年度電子商取引に関する市場調査

帝国データバンク 2018年度通信販売業者の倒産動向調査

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まとめ

これからネット通販を始める企業・運営中のサービスで戦略としては以下のポイントを留意してみてはいかがでしょう。

戦略案など

1:可能な限りコストを下げキャッシュフローを意識する

→高額なショッピングモールに入ることの再検討
→モール内の過当競争ではなく独立サイトで運営する
→損益分岐点を考え、無料ネットショップ作成サービスと有料カートの切り替えを明確に

2:大手と競合する商品を避ける、取り扱わない商品に絞る

→ニッチ商品の仕入れ、開発、また実用新案などの知的財産化
→同類の商品を扱う場合、プラスアルファのセールスポイントを加える
→スマホユーザー向けに絞り込んだ商品開発・戦略

3:物流コストを下げる

→物流代行サービスのあるショッピングカートを利用する

4:コストをかけないSEO/PR戦略導入

→グーグルの最新動向研究、SEO対策の内製化
→SEOのコストダウン クラウドソーシングで有能な外注に切り替え
→検索エンジン上位に表示されやすいWordPress+ショッピングカートに切替
→ネットショップのスマホ対応・レスポンシブ対応

5:新技術の導入

→AIでサイト解析・分析
→AIレコメンドを活用しリピーターの増加を目指す
→AIでWeb接客し、来訪での売り上げを着実に向上させる
→表示速度を上げる為、高速技術を導入したレンタルサーバーへの移行

6:コストを抑えたセキュリティ対策

→有料SSLから無料SSLへの切り替え
→レンタルサーバーに装備されたIPS、WAF、ファイアウォールなど活用

7:海外展開

→越境ECの検討、あるいは試験的な導入

まだ多くの対策は考えられますので、自社にマッチしつつコストのかからないネットショップ運営を展開していただければと考えています。

記事作成者プロフィール

佃 直毅
佃 直毅株式会社ストレン 代表取締役社長
株式会社ストレン 代表取締役社長
MCP,2級知的財産管理技能士
おすすめ情報サイト「マイベスト」レンタルサーバー・ドメイン監修

当サイトはネットショップ作成サービス/ECカートを中立の視点から比較評価し、始める・切り替える方の立場に立った情報をお届けします。

【仕事略歴】早稲田大商卒。東証一部精密機器メーカー、レコード会社を経て2000年 動画配信レンタルサービス「ストレン」起業、マイクロソフト認定パートナーとしてサーバー構築・運用・PR等に携わる。2015年、東証グロース上場企業・お客様と合意の上、上場企業へユーザー移行後に同ビジネス終了、以降はITコンサルティングとして支援に。

【趣味】プロ野球/MLBなどスポーツ、映画・音楽好き(主に洋楽)