ネットショップ作成サービス「MakeShop」の流通総額が、過去最高を記録した2021年 2,749億円を上回り2022年は3,000億円に届く見込みで、EC市場は順調に成長を続けています。
「MakeShop」では、11,000件以上の導入データを分析し、2022年度EC市場の分析結果を公表しています。その概要について確認します。
EC市場全体の状況は?
2020年には大きく成長したEC市場ですが、ワクチン接種率や国民の意識の向上、コロナ対策の積極的な導入などによりコロナ特需が落ち着いた結果、物販系分野のBtoC EC市場規模が2020年12兆2,333億円から2021年は13兆2,865億円となっています。前年比8.61%増とはなりましたが、2020年と比較して成長率は落ちています。
■ 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和3年度 電子商取引に関する報告書」
ココがポイント
経済産業省の国全体のEC市場分析と、MakeShopという1つの民間サービス導入を基にしたEC市場分析には違いがありえます。前提として経済産業省のデータを把握しておくことは重要です。
月間と年間の流通額を比較する
流通額(導入店舗の売上合計)は、年間流通額で見てみますと2020年度のコロナウィルスによる緊急事態宣言や外出の手控えなどの影響を受けて大きく伸びており、2019年の1,734億円から2020年2,343億円と135%も伸びています。
以降も、2021年が117%に成長、2022年度には3,000億円突破とコロナ禍が落ち着きを見せる中でも順調に推移しています。
引用:MakeShop byGMO 以下複数素材
次に、月間流通額に目を移しますと、2020年4~6月には右肩上がりの上昇となっています。
例年であれば季節要因で、流通額が横ばい又は下がる傾向にあるところから見ますと、緊急事態宣言による巣ごもり需要などで異なった動きを示していると考えられます。
ココがポイント
さらに、2022年以降のグラフでは、2019年度のようなパターンに戻りつつありますのでコロナ禍以前の季節需要に基づく推移に戻ってきているとも見えますね。
ジャンルごとの傾向は?
次に、ジャンルについて確認します。「導入店舗」「注文数」「流通額」に分けて見てみます。
■ 導入店舗
2022年12月時点では「フード・菓子」ジャンル18.1%、「ファッション・ブランド」13.2%、「生活・インテリア・文具」12.7%となっています。
2019年は「ファッション・ブランド」が最多で15.2%でしたが、2020年に「フード・菓子」が1位となり増加を続けています。
■ 注文数
2022年1月~11月は、1位「ファッション・ブランド」17.9%、2位「フード・菓子」17.6%とほぼ同列となりました。2019年が1位「ファッション・ブランド」17.2%、2位「フード・菓子」で13.4%、3位「生活・インテリア・文具」9.3%ですので、「フード・菓子」の注文数増加が顕著です。
■ 流通額
2022年1月~11月では、1位「ファッション・ブランド」12.6%、2位「フード・菓子」10.4%、3位「家電・AV機器・カメラ」9.7%となりました。導入店舗や注文数と比べて順位が低い要因は「フード・菓子」の商品単価が低いことが影響しています。
ココがポイント
「フード・菓子」の成長・増加には、やや遅れていた飲食店・食料品関連のEC化、ネットショップに取り組み始めた、という要因もあります。
決済手段の傾向は?
■ ID決済の急増と複数決済方法のあるショップが有利に
コロナによる影響で非接触決済方法を始めたユーザーや決済に慣れたユーザーが、ネットショップにおいてもID決済を選択することが増え、2019年のID決済6%から、2022年16%と10ポイントも急増しています。また、接触が必要な代引きが9ポイント落ちていることも影響しています。
利便性や安全性を考慮すると、今後もクレジットカードやID決済など非接触系決済手段の増加が見込まれます。
ココがポイント
クレジットカード決済のみのネットショップより、さらに3種類多く決済方法を揃えているネットショップの方が4.8倍も売り上げが多いという結果で、以前から言われていることですが、多くの決済方法を揃えたネットショップがユーザーにとって使いやすいというデータが今回も確認できました。
地域ごとの導入店舗数や傾向は?
■九州・四国・中部・北海道と地方が伸びている
地域別の導入店舗数を見てみますと関東が最多で46%です。
しかし、2022年と2019年を比較した成長率は、九州150%、四国141%、中部・北海道131%となりました。
■関西は「フード・菓子」が1位に、関東は「ファッション・ブランド」強し
地域別のジャンル別導入店舗数は、地方ではコロナ禍で「フード・菓子」の成長が増し、九州・四国・北海道・東北では占有率30%以上となっています。
関西では2022年に「フード・菓子」が逆転し1位になり、関東では依然として「ファッション・ブランド」が1位をキープしています。
ココがポイント
旅行客が激減した影響により、売り上げを補うため地方事業者がEC市場に進出したこと、コストダウンや業務見直しでDXに取り組んだことが地方での伸びの要因と考えられます。
今後の注目ポイントは?
MakeShopの機能で海外に向けて販売できる「海外販売機能」の利用者が増加しています。
昨今の急激な円安による輸出のメリットや、海外市場の開拓を進めるEC事業者が増え、2022年4月の「海外販売機能」提供開始以降、毎月100件ペースで増加、12月14日時点で900件を越え、流通額も増えています。円安傾向もしばらく続き、さらに「海外販売機能」は追加費用負担もないことから今後も導入店が増えると見られています。
ココがポイント
国内EC市場の成長がやや鈍化していることも、越境ECへの関心を高める要因となっています。
出典
GMOメイクショッププレスリリース
PR TIMES
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まとめ
動向を注視
ネットショップ作成サービス「MakeShop」が取りまとめたEC市場分析では、流通総額の推移や決済方法、地方の動向などを把握することができます。
さらに、今後の動向として円安を活かした海外展開「越境EC」が増加していることも分かりました。
コロナウィルスの感染者の推移は継続して増減を繰り返しており、未知の変異種の出現も想定される中、どのような状況でもECやネットビジネスが継続して成長できる方法を模索していく必要があります。
最新情報や市場分析に気を付けて、日々のビジネス・営業活動に役立ててください。